彼女たちの 潮騒/森さかな
 

 
舌を、這った
 
 
 
貝に私の
祖母が いる
 
 
 
灼かれた 畳でのんだ
烏龍茶
 
 
すべて 風に消えたのよ
 
 
 
母が 去ったのは
色褪せた カレンダーのなか
 
 
その日は朝から たくさんの
彼らの死体と 白い貝がうちあげられた
 
 
 
ふふ ふ
ふふふ ふ
 
 
 
すこやかに育つ 娘よ
 
 
私を泳ぐ精子
 
 
すこやかに育つ 娘よ
凪いだ風に私の手はにてきた
 
 
 
(ふふ )
 
 
 
 
いずれ私は 祖母や母のように
波打ちの 泡
 
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