親愛なるあなたへ/涙(ルイ)
四、五日前から眠れぬ夜が続くので、
なんだかすべてがぼやけて見えます。
あなたからの手紙で十分励ましてもらったのに、
この淋しさと虚しさはいっこうに立ち去ろうとしないのです。
それどころか、この頃ますますひどくなってきたように思います。
街を歩いていると、行き交う人々の視線に気が狂いそうになります。
買い物をして支払いをする際の自分の行動のもどかしさ、
おろおろした態度に終始赤面するばかりです。
背後に忍び寄る足音に脅かされ、
怯えて吐き気のするような思いを何度したかしれません。
嗚呼、僕はどうしても人と交わることが出来ない。
あなたが云うように、誰彼
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