イマジネイションの腐海/エチカ
 
う。
赤いランプに照らし出される世界の記憶の狭間で、乾いていく記憶の輪郭。
絶滅した白亜紀。
ぶうん、ぶうんと電話の着信音が光る。
「酸の海で僕を照らし出して」
シーラカンスが囁いている。
貧弱な背骨にウキブクロを入れて、ようやく保つ肉の破片。
生きた化石に恋をして、私は酸の海に溶けた。

、すっかり白骨化したシーラカンスが泳いでいた。
「やあ、見つけたね。さあ僕を腐海に連れて行っておくれ」
貧弱なシーラカンスは、カタカタと近寄ってきて私に話かける。
私は手を差し出した時、自分の白骨化に気がついた。
まっしろだ。何もかも。
自分の頭をカタリ、と傾けてシーラカンスにメトー
[次のページ]
戻る   Point(6)