風邪の日のスカイフィッシュ/
 
ると「まだ、微熱が続いてるわね。もうしばらく、学校の方はお休みしましょ。先生には言っておいてあげるから。」と言い、空調のスイッチを調節して、消えていった。しばらくすると、電話で話すママの声が響いた。足元のベランダからは明るい光がさしこみ、小鳥の声が聞こえる。
 もうしばらく、と、ママは言ったが、ぼくはこの小学校には数えるほどしか通っていない。生まれつき体が弱く、病気がちなぼくは、そのほとんどの日々を、ずっとこのように自分の部屋ですごしているのだ。その上、数日前から風邪をひいてしまったらしい。ぼくは、布団にもぐりこんだ。まだ、少しねむい。そして、体が熱い。
 朝のこの時間、それは、近所の子供達が通学し、その声でにぎわっている時間帯だ。ぼくは、その声の持ち主たちをいまだに知らない。もちろん、知ったところで何がどうなるというわけではないのだけれど。
 ただ、ぼくにとって、いつも世界というのは、この部屋の外、つまり、このドアの向こう側にしか存在していない。







       

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