古い写真のこと 思い出のこと 憧れのこと/水町綜助
づけて
そうして出来上がったビルとビルの間
その湿った行き止まりで
吹き貯まる煤けた落ち葉と白いビニール袋とレシート
強い強い風に激しくかき回され舞い上がる
嘘みたいな青空へ
手が届きそうにないものは
河原で老人によって描かれた油絵
そこに浮かぶ
ちいさな鳥みたいな白いビニール袋
そんな風(ふう)に乱暴に生きていたい
馬鹿げていて
なんの約束もない
弛緩した安らぎと
綿毛よりも柔らかなこころ
屋根からもぎ取れた風見鶏
地面に落ちた煙草の煙
僕は憧れをもって見つめ続ける
電車は走り去り
友達は次の街へ向かい
煙は空になった
僕はゆっくりと柵から離れ
改札口を昇った
戻る 編 削 Point(5)