古い写真のこと 思い出のこと 憧れのこと/水町綜助
 
づけて

そうして出来上がったビルとビルの間

その湿った行き止まりで

吹き貯まる煤けた落ち葉と白いビニール袋とレシート

強い強い風に激しくかき回され舞い上がる

嘘みたいな青空へ

手が届きそうにないものは

河原で老人によって描かれた油絵

そこに浮かぶ

ちいさな鳥みたいな白いビニール袋

そんな風(ふう)に乱暴に生きていたい

馬鹿げていて

なんの約束もない

弛緩した安らぎと

綿毛よりも柔らかなこころ

屋根からもぎ取れた風見鶏

地面に落ちた煙草の煙

僕は憧れをもって見つめ続ける


電車は走り去り

友達は次の街へ向かい

煙は空になった

僕はゆっくりと柵から離れ

改札口を昇った


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