「スウプ」と「ちくわぶ」/渦巻二三五
言葉と、その、遠くのつかみきれない出来事を考えるにあたって食べ物が出てくる。そして、神様。
食べ物。
世界の手触りを得ようとして、でもそれが虚しいときも、食べ物は現実と生きている自分との接点を一番実感させてくれる。あまりに哀しかったりして、食べることも思いつかないようなときでも、ともかく何か口に入れてみると、ああ、私お腹が空いていたんだ、とわかる。それと気がつかなくても、寂しいときにお腹が空いているといっそう哀しくなってしまうのだ。祖母の葬儀のとき、お参りに来た人たちに一日中絶えることなくあれやこれやと食べ物が供されていて、私は、これらの食べ物がなかったらどんなにか寂しい思いをしなければな
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