迷子/エチカ
 
出している私たちも染まってはいけないこうではいけない描き
出さなくてはいけない執着を

駅の構内で永遠に続く鬼ごっこをしているような気がして私は愛した
人を傷つけてしまってもうどこかに行ってしまいたくて近くの蕎麦屋
に駆け込んでセルフの蕎麦をすすりながら過ぎ去っていく孤独を見た
影のように走っているので顔がなく口がなく目がなくただ過ぎていく
ので足だけはあるようであとは帯状にうねりをもってただひたすらに
流れていくだけなので私は坑鬱剤を町のネオンに溶かした

最終電車に間に合わせようと必死になってありとあらゆる執着を書き
出していると緑の制服を着たのっぺらぼうの駅員さんが白い手袋をは
めて手を振ってきたので私は鳩をペンキで白く塗って発車のベルを待
っているのですと言い鳩に飛べと命令して時計を見ると9−12の間を
針が指してベルは鳴りました鳩は固まったまま動かなくなってしまっ
たので私ペンで書きました






          悲しみよ  こんにちは、と。  
                        







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