この世界を離れて ★/atsuchan69
しゃろ。教師も教師なら生徒も生徒や。つきおうて間もなくさっそく駆け落ちですわ。そこからはもう、必死やったし。あまり覚えてまへん。昔のことやないの、忘れてしもうたわ。そうゆうて笑うこともできます。でも、やっぱ忘れられへん辛い思い出もぎょうさんありますわ。なんせ今夜の寝床もわからへんような毎日やさかいな」
そう言って母ちゃんは、父ちゃんの顔を見た。
父ちゃんは、
「しかしまだ生きている」
と、言った。「君も私も、たぶんあとしばらく生きるだろう」
「あとしばらくでっか」
母ちゃんはすこし首をかしげて笑った。
僕の目のまえには、くしで焼いた殻つきの海老がある。
「とんでもない。あ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)