ほっとみるく/空雪
銀色の鍋でじっくりことこと、
蜂蜜は茶色の小瓶から、
そんな情景にあこがれるけれど
現実世界の僕は まぁ
時の流れに逆らう気力など持たず
透明なカップを電子レンジに、
プラスチックケースから蜂蜜を注ぎ、
そんなふうに
午前一時
(スプーンはかろうじて憧れた色で)
わらっていようと思った
たとえば本当に彼らの言う通りなら
僕はわらっているべきなのです
(なんて幸福!)
あと幾つ
星が降ったら
あたたかな白い液体なしで
夢を見られるようになるのかな
(あのころのように)
真っ赤なジャムを入れたらどんな味がするのか
想像してみて、
でも今夜もまた
僕が垂らすのは金色の蜜
(たぶんね)
ベンチに座るとすり寄ってくる
あの黒猫と
語り合いたいと思う、冬の夜。
(ほんとはさ、きみに、貴方に、ねぇ、あのね、)
戻る 編 削 Point(3)