海の音/
だいたばし
暗くない人生なんて嘘だ
もはや
明るい夜ばかりじゃないか
泣かない赤ん坊のように
日常は霞んでいる
急行電車は
一種の共同墓地だ
それは鉛が割れたように扉を開き
音のない夕暮れを連れ込む、
女のほほにあたたかい涙が流れ
男の肩を突く
腐敗してできた土の上に
今日が沈んでいく
明日の海の音が聞こえる
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