永遠の終わりに寄せて/氷吐
 
歪みきった感情を吐瀉物に浸して君にぶつけよう。
部屋の隅で膝を抱えて居られるだけの羞恥心さえ有れば充分かそれも直に麻痺する。

男と女を小説に喩えるなら低俗な短編集が幾つか著者はハッピーエンドが大嫌いらしく安酒の海に泳ぎたい。

自分の指が足りなければ他人から奪うから全てそれと同じ事で半分のケーキから這い寄る混沌は僕を取り込んだ。

熱を孕んだレンズは像を結ばず雪に転がって遊ぶ。国境を跨ぐなら両側から撃たれる事を覚悟すべきであり枷の落ちた左腕は病床に見た夢の様。

刻の隙間から滲む涙は紫煙だけ垂れ流し最早海水との区別を失って蝙蝠の翼では天国まで飛べず或いは錠剤から買った空なら分からない。

人間の振りをするのに疲れてしまったからとても欲しかったあの不確かな物に比べ余りにも安い腎臓肝臓血液角膜蛋白質塊動く蛋白質塊縛られた自由意思鐘の音。
戻る   Point(2)