12月某日、ある曇った日の夕暮れ時/涙(ルイ)
年末だっていうのに
部屋を大掃除する気にもなれず
やたらと浮かれ気分の
テレビを見る気にもなれず
かかってきた電話はきっと
夕方会う約束をしてた友人から
留守電にかわったとたん 聞こえてきたメッセージ
「ごめーん、急に用事ができちゃってぇ」
妙に明るい声
会う気がなかったんでしょ
ごめんね わざわざ電話代使わせちゃって
あたしも会う気なかったよ
こっちから掛けようと思ってたんだ
だから ちょうどよかったよ
ちょうど よかった
うそばっかり
暖房の効かなくなった部屋の隅っこで
頭から毛布をすっぽりとかぶり
ただただ ぼんやりと
窓の外ばかり眺めていた
すべての輪郭をぼかしてしまいそうな
鈍蜀色した空ばかりを
ずっと ずっと
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