夕刻・聖蹟桜ヶ丘/たちばなまこと
をやっている
背骨が鳴いてざわざわとよろこび
饒舌は宿り木にやわらかい嫉妬をする
A館の家電店にはさんざん待たされて
最後には在庫が無くて
ペンタブレットが買えなかった
買ったのは3階の画材店で
手のひらサイズのクロッキーブックと
紺色のジグノ
内壁はずいぶん熱く波打ってしまっていたから
試し書きの1本をレジに出していた
店員さんが走っていって新品に換えてくれた
1階のストアを抜けてスクエアへと向かう
空が燃えているずうっと下で焦げながら大人は
炎に胸をわし掴まれ
携帯を空へかかげ
アスファルトから蒸発する雨に揺らいでいて
私も信号待ち胸の前で小さく携帯を開き
青信号に急ぎ足で暖色の揺らぎをとらえた
2007.9
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