みずのうた/たちばなまこと
 
背中でみず色をうたっている
こんなにも乾いているから
詩のたましいを“ふたあつ”もつ子の
みずのうた

誰もいない広場に
けやきやいちょうが積もっている
小さなひざをミルフィーユに沈める
ぺたん かさんかさんって
すくいあげて君に降らせると
きゃらきゃら笑う

雲がちぎれた場所から
風が吹く
ぼうやあぁ… ぼうやあぁ…
生えかわった妖精の羽が
踊りながら“たあくさん”おちてくる
もみじの手でつかまえようとする
みずのうたをうたいながら

妖精はあたらしい羽をのばして
光にのぼってかえる
ちぎれた場所をゆびさしたけれど
なにも言わずに“ふたあり”
みずのうた

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