サクラの散る道/アンテ
咲いた順に散って
地面に達したら
あとは朽ちるだけだから
一番いい時に花を開かなければ損
そう教わった
サクラが綺麗なのは
みんな一斉に咲いて
一斉に散り落ちるからだ と
開花を告げるのは
いつだって
最初に咲いた花なのに
マイペース
という言葉がキライだった
先へ進む力を否定して
それを上手に正当化して
自分で自分を許す呪文
他人のためにしか
使ってはいけない言葉だって
念じて生きてきた
ピンク色に染まった地面を
踏みしめて歩く
けっして目を逸らさない
咲いたのは彼らの意志だから
いつか散ることを知っていて
それでも
花びらを開い
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