三の詩篇/乱太郎
 
はいないかと
亡霊となって彷徨う記憶は
もはや君の姿ではない
それでも
瞳に光る涙は
渇きもせずに夜を照らす





 三 隣は

飛び跳ねたつもりでなかった
そこは小さな水溜りで
映った空が眩しかったので
ちょっと避けようとした
それだけだった
何も変わらないはずだったのに
底なし沼に沈んでいく
生い茂る草で見えなかったけど
水溜りの隣は
見えない未来だった



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