救いについて(総武線にて)/Tsu-Yo
 
との間合いを計りながら
すり足で近づいていく
息をのむ
さらにすり足
あと半歩で奴らの間合いに入る
と、思ったその時
あいつらふざけたことに
散弾銃なんかぶっ放しやがった

一瞬の後
頭に入り込む銃弾
脳内で破裂するダムダム弾
俺の眼球その他もろもろの肉片が
無遠慮に飛び散る


パレード
観覧車
祈り
季節はずれの歌

あぁ、また車内を汚しちまった
俺は本当に悲しくなっちまうんだよ
だけど頭がぶっ飛ぶ寸前に
俺は確かに見たんだ
あの女が電車から降りるとき
ふと振り返り
俺に微笑みかけてくれたのを
俺は確かに見たんだ

ちくしょう
いつだって
救ってやりたい気持ちでいっぱいなのに
救われるのは俺ばっかりだ






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