地獄の詩人/atsuchan69
 

まだ世界中の恋人たちは愛し合っていた

すると深夜三時頃、
枕元に歯の抜けた死神が立って
スゲーこと、やってみたくね?
と、僕を誘った。

 「やっぱ、どうしても世界を終らせたいのかよ?
 「ちゅーかァ、それが俺の仕事だからな
 「協力したら何くれるの
 「即、一生涯の富と力と、名声

 よし、契約した、
・・・・と、いうのは嘘

 アホらし。

おまえ、これ読んで出直せ
と、僕は死神へ一冊の本を手渡した

 ――ワーズワース詩集

神秘の言葉によって、
もしくは生きた言葉によって
斯くも世界は
在って、あるのだ

不完全極まりない
この見飽きた世界が、
未来永劫に
灼熱の業火に焼かれようとも
詩人の言葉は、
一文字たりとて譲れない

たとえ命と引換えにしても、絶対に
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