たすけてください/佐々木妖精
 
から生まれ
その血管は学校や職場へ枝分かれし
友達や恋人に至るまで脈打ち
進むべき道を
内部から血で示し続けた


時に反抗し
彼等を殺すことすら空想し
ナイフを撫で
言葉を突き刺した

やがて
絶対追いつけないはずの二人のうち一人を
私は身長で追い越し
また学歴というもので追い越し
ネクタイと格闘しながら
年齢差は今
2倍にまで縮まった

絶対に追いつけないし
その差が縮まることはないと思っていたのに

しかし今になって
追いつくということが
そして追い抜くということが
どういうことであるのかを
思う

私の年齢が
二人の年齢に追いつくということ
二人が絶対的な存在ではなかったと証明すること
それを想像すると

父が弔辞を読み
祖母の棺に頭(こうべ)をたれる姿
それは
今は
まだ


















助けてください

って、誰に言うようにすればいいんですか
太陽が目に痛くて立ってられないんです
たすけてください
誰か
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