待ち時間/塔野夏子
 
白い楽屋の中
蒼ざめた哲学がひとりきり
鏡の前に坐っている
しばらく目を閉じることと
目を開け 鏡に映る自分の貌を見つめることを
繰り返している

楽屋から舞台への通路には憂鬱な霧が立ち籠めている

舞台上の書き割りには螺旋階段だけが描かれている





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