飛行訓練/
 
コみたいなビルに挟まれた
無限の中に浮かび上がっていた


飛びたくて
ただ 飛びたくて

ある時は 鳥を真似た

ある時は 飛行機を見ていた


蒼いストールを風にたなびかせ
空中を切りながら
羽根のように
弧を描いて滑り降りてゆく

ざわざわと鳴り止まない血
全身がさざ波のように振動する



やがて やわらかな月光が訪れ
揺れ動く緑の中には千の部屋

一枚一枚の葉の中に
太陽と暮らす人々の姿が映る

猫が鳴いて
あくびのオフィスの窓が
行き過ぎて


今宵は あの月を越えにゆこう




ふと見れば 地上は工場製品ように複雑で
長方形が滑ってゆく





        

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