飛行訓練/s
コみたいなビルに挟まれた
無限の中に浮かび上がっていた
飛びたくて
ただ 飛びたくて
ある時は 鳥を真似た
ある時は 飛行機を見ていた
蒼いストールを風にたなびかせ
空中を切りながら
羽根のように
弧を描いて滑り降りてゆく
ざわざわと鳴り止まない血
全身がさざ波のように振動する
やがて やわらかな月光が訪れ
揺れ動く緑の中には千の部屋
一枚一枚の葉の中に
太陽と暮らす人々の姿が映る
猫が鳴いて
あくびのオフィスの窓が
行き過ぎて
今宵は あの月を越えにゆこう
ふと見れば 地上は工場製品ように複雑で
長方形が滑ってゆく
戻る 編 削 Point(3)