かぜのいれもの、のなかで/たりぽん(大理 奔)
 
   キッチンから窓の外が見える
   小高い山の放牧場には三機の風力発電機があって
   巨大な三つ葉の風車が
   /ゆっくりでもなく、はやくでもなく/回っている

この街に近づく冬はいつも遠雷の足音
漏斗(じょうご)で水をまくように道路を濡らしては
おそろしい響きで秋を威嚇する

   あんまり風車がくるくるまわるということは
   そしてそれが街から見えるということは
   海から南に向かう冷たい風、雲を流しながら
   /くらくもなく、あかるくもなく/ひかるそら

北風は、窓を震わす風とつながっているのだろうかと
ベランダにでて頬の温度にきいてみる

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