架空少女事典/nm6
 
真に受ける少女で、閉塞感と浮遊感は紙一重なのよと分かったような顔で教えてくれた少女だったので、ほんとうはここにいない少女でした。


[ま]
間違いの少女は、みんながすれ違う瞬間に起こる風になびいてしまう少女で、無理だといってもやめられないことばかりしてしまう少女で、珍しい形の穴が空いた乾いた球体を弄ぶ少女なので、もう帰らない少女でした。


[や]
安っぽい少女は、夕方の少女で、ヨーイドンの少女でした。


[ら]
乱反射する少女は、理解したさようならをこめかみの裏で噛み殺してしまった少女で、累積したありがとうをどこかへ置き忘れてしまった少女で、冷製パスタのような少女で、ロックは死んだのよと繰り返す少女でした。


[わ]
忘れがたき少女、を、うんと妄想した結果の少女でした。
そうして忘れていくのでした。
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