青く煙立つ祭壇/atsuchan69
ーん、うぅふん。
大胆なシャリマーの香りに紛れて
波打つシルクの敷布へと転がる二人
人の心に背く者同士、
美しい野獣の匂いを放ち、
ただ、想いを探るように見つめあう
襟元に見せる黒のレースが、
さも上品さを装って
白い肌を世俗から遠ざけていた
しかし剥きだされた果肉、
――即ち、君は
色鮮やかなピンクの声で
高らかに全世界の哀しみを笑った
秒針が、二人の終わらない吐息を数える
ふり向き様、
雨に濡れた石畳の坂道を
昔の女が、恐ろしく形相を変えて
二人を待って立ち尽くしていた
にんまりと不吉な笑みをこぼしては
タヒチの黒蝶貝の首飾りとと
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