空中線/ねなぎ
毎日の電話帳に栞のように眠りを挟んで
無い物を考えずに
止め処なく
笑う
誰かの声を聞きたくなっても
昔みたいに
無言電話が出来ないから
ワッチでもするしか無いらしい
声を聞いた事になるのかと
考えるに
反応する事が声なのか
誰かに届いているのか
それとも
誰にも届かないのかも知れない
繋がって無いのかも知れない
届かない手紙は手紙では無く
ならば
届くとは何なのか
郵便屋さんに聞いたら
職務妨害になるだろう
電話帳の数字の羅列を
読み上げていく
ゆっくりと
時間を掛けて
潰すように
周波数を合わせているのは
発信したいからでは無く
受信したいから
伝えたい事が無いのなら
伝わりもしないだろうか
どこから電報が届いたので
読まずに食べた
多分
伝わるのだろう
導線を
芯線を
アースを
届くからと言って
受信するからと言って
投げっぱなされた物を
拾っていても
何もならない
それは
どこかに伝わって行くだろう
ただ受けるが止める事も無く
流している
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