いくつかの心象/結城 森士
てしまっても
時計の針を気にする必要は無い
僕達は確かに此処に存在している
そしてその事を認められるのは
自分しかいない
自分しかいない
自分しかいない
公園はいつの間にか鮮烈な赤に染まっていた
そして僕はたった一人でベンチに座っている
思い出は皆消えていくけれど
僕が僕であると思えるうちは
この景色は永遠に消えることは無い
(此処に居る
誰も居ない
(此処に居る
誰も居ない
(此処に居る
誰も居なくなった
赤、
かつて、確かに此処に存在していた
今、鮮烈を伴って球体は零れ落ちた
赤、あくまで赤く砕けていった
それは間違いなく存在していた
しかしもうそれを見ることは無い
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