Digital/結城 森士
 
立っていった
彼らは言った
「答えは一つだ」
「それはとても簡単だ」
「白と黒のどちらかしかないのだから」
僕は言った
「そんなことは間違っている」
彼らは答えた
「君が間違っていて我々が真実だ」
僕は言った
「そんなことは間違っている」
彼らは答えた
「君が間違っていて我々が真実だ」
僕は言った
「そんなことは間違っている」
彼らは答えた
「君が間違っていて我々が真実だ」
そして彼らは去り際に言った
「何しろ真実は我々なのだから」

いつの日も真実を追い求めた
朝も昼も朝も昼も朝も昼も朝も昼も朝も昼も
神や道徳が僕に揺ぎ無い信念を要求した
朝も昼も朝も昼も朝も昼も朝も昼もそして夜も
母親は僕に言った
「優しいだけでは駄目なのよ」
僕が時代に飲み込まれてしまっても
どうかその言葉だけは消えてしまわないで


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