だれが/竹節一二三
街灯はあたりをてらし
川はなにかのために流れる
夢のなかにいるような
うっとりと甘い夏のあめのなかに
かえるのくしゃみをきいて
はすの葉のうえにとびのった
傘がみずをはじく音
遠くのまどに明かりがついて
そろそろばんごはんの時間になる
ポケットから出したあめちゃんをくちにふくみ
かわりにぬけた歯をはきだした
はすの上にねころんで
だれかの迎えをまっている
だれがここにいるの
だれがかえってくるの
だれがそこにいるの
だれもいない
わたしもいない
雨のなかひとり
前髪をつたってしずくがひとつ
口をひらいて天をあおぐ
雨はひとところからわた
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