水草/たけ いたけ
 
るで揺らぐ水草みたいに
臭いんだ

クリームシチューとパスタを並べて
彼女は思っていた
私はあまり好きじゃないわ
俺はどうにか伝えたい気がしていた
伝えた気がした
ピンボケのカメラで撮影された食卓
彼女が昨日登った山の話をしている
池に魚が泳いでいて水面が光っていて
空気が涼しくて落ち葉が赤かったらしい


水につかったように凍える夜に車を走らせながら
ただ真っ暗な物体のことに執着していた
涼しくなっていく感覚
霊安室の卵巣
彼女は
冷徹にバランスゲームをしながら
彼のこと本当に好きだわと思っていた
今すぐに朝日を願った
夢のように

東の山の底からシャワーのように明るんで
右頬から耳の辺りにかけて照らす
肌のキメが細やかに露出して
光源になった頬
そこにキスをするんだ



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