夕焼け迷子/さくらほ
 
されて

焼けた肌に冷たい我重ね一つに溶ける体温と時

汗キラリキラリと滑り落ちてゆく 濡れた黒髪君の情熱



乳足りて眠りに落ちる赤子のよう艶やかな頬にそっといたずら

若若し腕の予防接種の跡その横に並べる今日の証




空を見あげ明日の天気を星に聞く君 キラリと光る星は無口

春来たらそっと優しく解けるように蝶々結びで二人結わこう

愛の言葉丁寧語で語る君 埋まらぬものは年の差だけじゃない

グローブで頭撫でられ君の指恋しくなるけどそれは言わない

「また明日」その呪文がある限り笑顔になれるような気がする

バイクゆく 曲がり角まで見送らない 去るのはお互い様にしよう


季節巡り君は飛び立つ鳥になる我は動けぬ終の花なり

長身の君がもっと長くなる夕暮れの街どこへもゆけぬ

夕焼けに君は迷子の雲になる 空にポツリ私の中の
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