火をつくる丘。/鯨 勇魚
必要なの。絶対必要なの。と。
実は朝から丘に雲が下がり、
霧がたちこめながら、
ぼあぼあしたり、
秋のしっぽを濡らすから。
もう、神無月。の、
雨がしとしとと降りそそいで、
風景。そのままを一様の。
燃え尽くことのないほむら。に、
我が身を包んでいたりしました。
昼をすぎるあたり。
急に風が西側から囲み、霧。が、晴れ、
雨も止んだ。
やがて雲の底がだんだんせり上がり、
向う眺めはまだ秋。の、山裾。
村落や高い扇状地の田畑がはっきりと見えはじめます。
まだ、綿のような白い霧があって。
それらが、たむろしている谷間をのこして、
渓谷は中腹から下の部
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