詩稿する少年/佐野権太
空にたつ少年
キャンバスを粗く擦ったような
雲をみあげる
銀色の髪
長袖Tシャツとバスケットシューズ
細い骨の孤独を
風に晒(さら)している
視界に収まらない空
どこからがはじまりで
どこで終わるのか
魚座
―――明るい星のない星座
の方角をみつめる
情熱と、不信感を映した瞳は
蒼黒い球体を夢想する
助けを求めてふるえる
少女の
怜悧な瞳
尖った顎の角度
黒いケープの裾がはためく
ささくれを噛んでいる
いめえじと感覚の交差する狭間で
まだ、爪先を探している
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