映画日記、ただし日付はてきとう/渡邉建志
 
。目覚めても眠ってもいない、しかしまぎれもなく「私自身の」夢のようなものを。
 武満徹に「夢の縁へ/To the Edge of Dream」という美しい曲がある。「夢の縁へ」は、非常に映画的だ、と思う。映画的、ということを、境界のあいまいさというようなことを意味すると仮定する、ならば。あの、いい映画を観ているときの微笑むような恍惚の。武満は自分の映画エッセイの題名に「夢の引用」という言葉を選んだ。
 「映画は夢だ」。だとすると「夢の縁」は映画館だ。夢に入り、夢から覚める場所。この世とあの世の間の境界。
映画館こそ、わたしの「教会」である。

2006/5/5 アレクサンドル・ソクーロフ
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