笑顔の意味/松本 卓也
 
たマンションの灯りが
一つまた一つと消えていく深夜
電気を消すのが少しだけ怖い
また夢の中でさえ仕事をするのだろうか

幾つもの後悔が押し寄せては
変わらない姿を記憶の隅に浮かべる
それはただの郷愁なのか
それとも単なる弱音なのかな

何時の頃からだろう
笑い声に意味を求めなくなったのは

何時の頃からなのだろう
笑顔の種類を探らなくなったのは

本当に身近な空間に
温もりが転がっているならば
たとえ道化のまま日々を過ごそうと
嘆く事はなくなったのだけれど

僕はまだ大人になれていない

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