宝石箱/北村 守通
得させられるのだが
そんなときに
ふと
タックルボックスの中から
こいつらが
笑いかけてくれているような気がする
やさしい帰路だ
思えば
遥か故郷から
一緒に連れてきた
家族達よりも
顔を合わせている
新参者も増えたけれども
個性もそれぞれ違うけれども
続かなかった友達関係
得たこともない恋愛関係
そんな妄想よりも
確実な
深い絆が
妙に温かく感じてしまう
長過ぎた一日の終わりに
宝石箱の蓋を閉める前に
そっとおやすみを呟いた
彼等は
どんな夢を観るのだろう
遥か彼方の
高知の
あの蓮の茂った沼地だろうか
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