童話の山羊の夜のみち/
紫乃
強まっていくようだった
道は次第にほそまって
やがて
車輪と同じ幅しかなくなってしまう
スクラップになっていた
脳髄のすみの記憶は
子供の手の中にある飴玉みたいだ
かたりかたりと
世界は微かに震える
大きな化け物を
大きな山羊が食べてしまったように
世界は微かに震える
包帯だけがひらひらと
夜の空白を飛んでいった
戻る
編
削
Point
(8)