童話の山羊の夜のみち/紫乃
 
   強まっていくようだった

    道は次第にほそまって
    やがて
    車輪と同じ幅しかなくなってしまう

    スクラップになっていた
    脳髄のすみの記憶は
    子供の手の中にある飴玉みたいだ

    かたりかたりと
    世界は微かに震える

    大きな化け物を
    大きな山羊が食べてしまったように
    世界は微かに震える

    包帯だけがひらひらと
    夜の空白を飛んでいった


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