路上を這う/結城 森士
惨めな虫ケラたちが低い所から泣いている。
電燈に虹が掛かっていてそれを情けない姿で眺めている。時間など関係なく。帰る場所なんて何処にもなく。
惨めな虫ケラたちが低音で泣いている。
勝手に零れ落ちた涙は、一切関係なくただ流れた。
朦朧とした時間の中でいつしか、意思と身体が分離されていった。
背中には透明で細い虫の羽が生えていた。
小さく小さく解体された身体の部品はもう動かない。
この羽をどのように振れば僕は空を飛べるのだろう。
分離された不自由な手足はもう必要ないのだろう。
全てと関係なく飛び去ってしまえれば。
小さな虫ケラが電灯に群がっている。
一切と関係なく夜は流れている。
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