ひと雫のPoison/Lucy.M.千鶴
 
金木犀の薫りに
とっぷり町は浸かって

煮詰められ
心に熱く 蘇る追憶

ふたり

惹かれ合うように
くちづけた

それから あなたは
吐息で、 愛してるって 云ってくれた

わたしは
言葉にする代わりに
そっと 瞳をとじた

あなたは
わたしの
小さな乳房をだいて・・・
その熱さは 今でも 覚えてる
この胸が、
心が、

わたしは
鼓動が そのまま 伝わるのが
恥ずかしくて
少し、怖くて
震えていた

赤とんぼ 達は
小さな カップルの誕生を
祝うよに

沢山、 沢山、
飛び交っていた


金木犀の薫りには
ひと雫の
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