機械になるためのマニュアル/ケンディ
かしい生世界ではなく、鋭角だらけの包囲網となる。包囲され、溶接され、成型され、私の意味世界があらためて生産される。そして機械となる。この手順を常に思い描くこと。
4.
己が機械化される姿を追い詰められている姿と思わぬこと。ただ冷厳に見つめ続けること。戸棚からアルバムを取り出し、己の過去が、家族の過去が写っている写真を、一枚ずつ切り刻んでいくこと。鋭角の多い思い出の断片が大量に生まれる。だがそこに写っているものは、もはや意味をなさない。歴史、文脈、痕跡は消え去る。これで用意は整った。あとは一心不乱に単純動作を反復し続けることだ。あなた達、生産機械の世界に批判や反省は不要だ。
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