フローラ/1486 106
 
フローラ…
春の木漏れ日を浴びて
深呼吸する君は綺麗で
僕は隣で寝そべったまま
君の横顔に見惚れていました

フローラ…
摘み取った花を結い上げて
冠を纏った君の姿は
舞い降りてきた女神のようで
思わず抱きしめてしまいました

フローラ…
降り出した長い雨は
なかなか夏を連れて来てくれません
通学路は洗い流された花弁が
灰色の道路を埋め尽くしています

フローラ…
花吹雪は儚いからこそ
美しいものだと話していたね
だけど僕は華麗に咲き誇る
満開の桜が一番好きでした

フローラ…
あの時交わした約束は
叶わなくても大切に守るから
虹が架かる青い空の下
一輪の百合の花を添えました
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