秋を迎えられなくて/Lucy.M.千鶴
 
夏を ほどいた
波が

少し
季節はずれの
サンダルのつま先を濡らす

ここに 影もないのに

わたしは 何を 期待しているのだろう

打ち寄せる 波のレースは
その度ごとに
模様を換えるのに

わたしは 秋を迎える
区切りが 付けられない

森の中でまだ
枯葉を集めきれず
秋が過ぎ
冬を迎える
子栗鼠の様に
脅えている

あなたのいない
秋なんて
迎えられない

ひとりで
秋の先端に 爪立たされて

何もかも
抛ってしまいたい・・・

いつしか 満ちてきた 波の
還り行く
忘却の彼方に

わたしは まだ

あなたの 影を

探している・・・

指の間をすり抜け
砂を浚う 波

洗いざらい
流しきれずに

また ひとつ 打ち寄せる
この 波の様に

   心

     散り散りにして。
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