窓際の生き物/九鬼ゑ女
 
…ま、いいさ

使い古されたすべてが私の背後から
無意識という意識でこちらを覗く

見捨てられることなく許された場所に居て
許されたことで
私はこの瀬戸際の苛立ちを
自分の記憶に埋没させて
波の蠕動運動に身を任せているしかないけれど


…どうでも、いいさ


と、ことばが裏腹の意味合いで伝わりだして
「生き甲斐」という触媒は、
自我の無い水母のように           / くらげ
とっくに波間に浚われていったみたいだから

そろそろ私も苦悩を吐き出して
いい按配の溶媒液に殻ごと
浸かっていようかと

…そうそう、その調子でね

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