純白/ae96
敏感になっていた。
僕のもっとも敏感な部分と
彼女のもっとも敏感な部分が
ふたりの分泌液で 滑るように
擦れあうたび
彼女は 泣きそうな声で
喘いだ。
欲情の呼吸音が
毛布のなかだけに響いていた。
僕たちは
僕たちが どうなってしまうのか
不安になるぐらい 求め合った。
純粋に欲望を 研磨し
純粋に背徳を望んだ。
それが 醜いことなのか
それとも 美しいことなのかも
わからないまま。
冬のテラスの植物は
何もしらず ただ雨に打たれていた。
冬の風は止み
凍る寸前の雨は
いつからか
結晶になって
テラスを白くしていた。
純白だった 生まれたてのころの
まだ出逢っていなかった僕らの心のように。
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