雪別れ/結城 森士
 
ることが
 生きている証明だ/とか
/あーだこーだ/と
理由もなく
泣く日はなく
・嗤え
    
     *

秋の日にも氷の雨
都会の暮れを偽りだと罵ったり
枯葉を踏みにじり
終日、雨傘、泥水
雨降る窓から、鬱屈した暗雲を眺めて
雪の降る所から来たから、と言って
いつまで経っても氷の花のままだった

唐突なある日
時々ある時で
突然女は鳥かごの中で
感情を失くしてしまった
傷がついてしまうからと言って
感情を失くしてしまったのだから
笑うこともできないのと言って
悲しい目をして僕を見た

     *

雪のよう
北の国から来て
都会の空を猥雑に写したり
そうかと思えば
突然、残像だけをのこして
消えてしまった、呆気なく

氷花は枯れ
彼女は空と断絶した
雪模様は空に落とす


戻る   Point(1)