鋭角な旅路の先端/
灯兎
紡ぐのは
旅路での道連れであり 死への希望であり 愛への絶望であるのだろう
ぼやけて見えていたものが 少しずつ輪郭線の軌跡を取り戻して
手持ちの懐中時計の天蓋に 彼にしか見えない鏡像を結んだ
あれは 生まれたばかりの 小さな 月 ではないか
歪んで堕ちた月に 皮も肉も無いこの身で ささやかな謝辞を捧げよう
ありがとう ありがとう これで暫くは死を繰り返すことも無い
これでまた 愚衆の嘲笑に踊ることができるのだから
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