蝉殻/
フクロネヅミ
かき分け、
蚊に刺され、崖を落ち
満足するまで探しました。
蝉殻を潰れるくらい両手に抱えて
"ただいま。"
いい顔してるわ
と、後頭部に蝉をつけた母が言いました。
其れを見て、
ああなりたくない
とだけ思いました。
台所へ行き、冷蔵庫を開け。
それは夏のことでした。
中身を全部ぶちまけて、
密閉されたいと呟きながら、
期限間近なソースの上で
私は感傷に浸るのでした。
戻る
編
削
Point
(3)