渚/影山影司
 
 生まれ変わったら砂になりたい。
 沙弥の海あたりの砂。(地元の海。韻ふみふみ)
 夏になったらちびっ子がキャイキャイ言いながら、遊ぶ砂。
 時々城になって楽しくって
 時折山になって嬉しくって
 トンネル開通して忘れられて寂しくって
 誰もいない秋と冬を経験して
 暖かくなる季節を楽しみに過ごしたい。

 いつか砂かけばばぁの手下となって
 妖怪どもの目を潰したい。
 いつか砂肝の中にこびりついたまま
 サラリーマンに食われてみたい。

 透明な壜の中に押し込められて
 私は何者でもないのです。
 と言い切りたい。
 しかしおまえは砂だろう。
 と言われたら
 違います、壜ですよ。
 と答えてやる。
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