会話/Tsu-Yo
 
色とりどりの携帯が
九月の小川を泳いでいく
電話口から溢れ出る声は
次々と不器用に溺れて
川はさながら
どこか遠い国の雑踏のようだ
風邪は人にうつせば治る
という嘘を知らない子供たちの
水に投げ入れた石が
ぴょん ぴょん ぴょん と
せせらぎの上を飛び跳ねて
秋の匂いを掻き消せば
誰かと 誰かの
淋しい会話が終わる


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