問いかけ/松本 涼
 
浅瀬のような空でした

私は止まれない魚になり
そして反芻する言葉の中で
現実だけが薄暗く沈んでいきます

ぴしゃりぴしゃりと時間の岸に
私の影が跳ねています

それよりもあなたは
他人の眼の中に住む
私の姿を信じますか

呼吸の合間に私の問いかけを
吸い込むのはただ
浅瀬のような空でした

もう私に言葉は必要ないですか

けれどどんな風に見えたとしても
やはり空は空です


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