ベランダの季節/バンブーブンバ
 
ばらくして脈拍の高さに点滴を換えられてしまったことがあった
恋をしてるんです
笑われた
異形鉄筋を白く染め上げた
一坪ほどの冷たい場所に
小一時間も佇む理由を
血液検査から探しているようだった
雨の日が続いた
天井の穴を数えきってしまうほどの時間がすぎた
ようやく訪れた明るい朝
ベランダへ起き上がろうと
カーテンを撫でた
瞬く時間に
廊下が似つかわしくない足音に
あふれた


ベランダは
一輪のガーベラで
十分だった
ただ、
赤いコードを
たおやかに揺らした
君の調べを
ガーベラのさえずりに
のせるほど
若くはないけれど
祈ります





戻る   Point(4)